traveled on

岡山修行①


2月末、長かった浪人生活も終わり、とりあえず旅行でもするかと思い立ちました。貧乏旅行の味方、青春18きっぷは知らぬ間に3日、または5日連続で使用しなければならなくなったようです。地獄のような旅になることを予感しながら、青春18きっぷの旅をしようと決めました。浪人の間に岡山出身の子と仲良くなったことや、大阪から近いことなどから、行き先は岡山になりました。

さて、大阪から岡山に行くには約2時間30分、現地で長く滞在することと、朝の時間帯は列車の乗り継ぎがスムーズであることから、最寄り駅を6時前に発ちます。この日は日曜日。休日出勤のサラリーマンや旅行者とともに、西へ進む快速電車を待ちます。乗車率はいつもと変わらぬ電車ですが、心なしか車内の人々の気分が高そうに見えます。

電車は住吉駅を過ぎ、高架区間に入ります。このあたりはおそらく震災で再建された建物が多く、比較的新しい建物が立ち並ぶ神戸らしい景色になります。このあたりで朝日が登り、車内を照らします。

朝日に照らされた神戸の町並み
朝日に照らされた神戸の町並み

須磨のあたりで、電車は海沿いを走ります。中学歴史で習った(気がする)一ノ谷の戦いが行われたように、古くから敵の往来を監視しやすいとされ要衝となってきたところです。左を見ると朝焼けに染まる瀬戸内海の絶景、右を見ると山がそびえるという、山陽本線の中で最も景色の素晴らしい区間の一つです。絶景を目に焼き付けながら、まだまだ西へ進みます。

車窓には、淡路島に向かう明石海峡大橋も見える
車窓には、淡路島に向かう明石海峡大橋も見える

姫路駅で岡山方面の列車に乗り換え。関西と岡山の文化圏はこのあたりが境界らしく、客層が変わりました。2人掛けのソファのような座席をフルに使って、足を上げて横向きに座るという、関西では見たことのないチンピラが2人も乗っていて、これが彼女の言っていた岡山のヤバさなのかなと思い出します。

船坂峠を超えて岡山へ。「岡山、岡山、です。」と言う無機質な機械放送が、関西を飛び出し岡山に着いたと実感させます。岡山駅の巨大な発車案内を眺めて圧倒されます。とりあえず改札を出て、取り急ぎ近くのスーパーで、お昼を調達します。

岡山、倉敷に次ぐ第3の都市、津山には訪れたことがないので言ってみようと考えました。乗るのは快速ことぶき。国鉄急行色を纏った汽車に乗り込みます。製造時にはなかった車両と色の組み合わせで、少々違和感があるのですが、「国鉄のにおいがムンムン」して、これはこれで良いものです。

国鉄の匂いがムンムンする汽車。国鉄末期の1987年製、御年39歳だそう
国鉄の匂いがムンムンする汽車。国鉄末期の1987年製、御年39歳だそう

岡山から数百メートルの次の駅、法界院を使っていたという彼女の友達が、津山線は本数が少なくて不便だというのを言っていたらしいということを思い出しながら乗っていると、案の定法界院で車内の半数が降り、1時間に1本のローカル線らしい人数になりました。法界院までの本数が少ないという意見も納得です。

列車は川とまだ咲かぬ桜並木の中を進みながら、津山に着きます。乗り換えの汽車まで2時間弱の散策です。

津山は古くからの城下町で、明治に作られた洋館の残る街です。古い洋館には、当時日本にあった技術と西洋の技術を織り交ぜ、白い壁とステンドグラスやルネサンス様式のような、世界史の資料集で見たような洋風のデザインに瓦屋根という「擬洋風建築」の特徴が現れています。

「擬洋風建築」の江見写真館。登録有形文化財に指定されている。一番上の屋根に和風建築が取り入れられている。
「擬洋風建築」の江見写真館。登録有形文化財に指定されている。一番上の屋根に和風建築が取り入れられている。

一通り街を見終わって津山駅へ。汽車の待ち時間に勉強する高校生に怪訝な目で見られながら、ポケットから出てきたおにぎりを食べます。(あれだけ一生懸命勉強しているのは偉いですね)次の汽車は姫新線の新見行。2時間か3時間に1本です。小さな一両連結の汽車には、高校生が多く乗ります。

ボックスシートに腰掛けると、向かいに旅行者のような人が来ました。どこから来たのかと尋ね、互いに住む街の様子やSLの話を和気あいあいと語り合います。その方もさっきの快速ことぶきに乗っていたらしく、あの汽車のカラーリングについても話が盛り上がりました。

姫新線は街が途切れることなく続いた津山線とは異なり、駅を出れば家々は途切れ、田園風景が広がります。

そんな路線に乗り、列車は途中の大きな駅である中国勝山へ。ここでJRの腕章を付けた人とともに、多くの人が乗り込んできます。同じボックスに座った参加者に聞くと、ひな人形を見に姫新線に乗ってもらおうというJRの企画で、乗客数アップへの施策だそうです。津山からの人と、岡山での暮らしを聞いたり自分たちの暮らしを紹介したりして、あっという間に新見に着きます。

総社に移動して桃太郎線に乗り、夕日を見ながら、一日中汽車に乗り続けたことを実感しました。

桃太郎線の車内から見た夕日。この日は卒業式を終えた高校生が多数乗車していた。
桃太郎線の車内から見た夕日。この日は卒業式を終えた高校生が多数乗車していた。

日の沈んだ車窓を見ながら、船坂峠をまた越えて、関西へと帰りました。